土の温もりを暮らしに添えて ― 毎日の食卓に寄り添う「土物」の器

はじめに

毎日のごはんが、なんだか少しあたたかく感じられる。

 

そんな瞬間をそっと支えてくれるのが、「土物(つちもの)」の器です。

素朴だけれど味わい深い、土物の器の魅力と、暮らしの中での取り入れ方をご紹介します。

土物とは?

土物とは、土そのものの風合いを活かした陶器のこと。

つるりとした磁器とは異なり、ざらっとした素地の手触りや、釉薬の流れにゆらぎのある表情が魅力です。

また、見分け方のひとつとして、器を裏返してみてください。

素地の色が白ではなく、茶色やグレーなど自然な色をしているものは、多くが土物です。

白っぽいものでも、ざらつきがあり粒子が荒いものは、やはり土物である場合が多いです。

そしてもうひとつ。水に浸したときにじんわりと吸水するのも土物の特性のひとつです。

こうした特性が、器にやさしさと深みを与えてくれます。

暮らしに馴染む、土物のうつわ

■ 料理を引き立てる美しさ

土物の器は、料理をふんわりと包み込むような包容力があります。

特に、煮物や炊き込みご飯など、素材の味を楽しむ和食と相性抜群。

■ 季節感を楽しむ器選び

春には白や淡い青、秋には飴釉や鉄釉など深い色味の器を選ぶと、食卓に四季の彩りが生まれます。

料理に合わせて、器も季節ごとに衣替えするように楽しむのがおすすめです。

■ 和洋問わず活躍するデザイン

土物というと和食器のイメージが強いかもしれませんが、

実はパスタやサラダ、エスニック料理にもよく合います。

マットな質感とやわらかな色合いが、ジャンルを問わず料理を引き立ててくれます。

どんな料理にも使える、おすすめの器たち

日々の食卓に取り入れやすいのは、「煮物鉢」「中サイズのボウル」、

そして5寸前後(約15cm)の皿です。

◎ 煮物鉢・ボウル

副菜を入れたり、サラダやスープ、果物にも使える万能な器です。

手になじむ形と、釉薬の自然なゆらぎが、毎日の料理をやさしく包みます。

◎ 5寸皿(約15cm)

切り身の焼き魚、天ぷら、揚げ浸しなど主菜にちょうど良く、

またフルーツや和菓子をのせるデザート皿としても使いやすいサイズです。

形も、きれいな円形にこだわらず、少しいびつで表情のあるものを選ぶと、土物の魅力がより引き立ちます。

土物のある暮らし

土物の器は、同じ形でもひとつひとつ表情が違います。

日々の中で少しずつ風合いが変わっていく様子も、楽しみのひとつ。

家族の食卓、友人とのおもてなしの時間、一人で過ごす昼下がり――

どんな場面にも自然と溶け込み、あたたかさを添えてくれます。

おすすめ商品ピックアップ

釉薬の表情と丸みのあるフォルムが、料理をふんわり包みます。

心温まる煮物にぴったりの鉢

サラダや果物に映えるボウル

 日常使いに最適なサイズと、落ち着いた色合いが魅力。

日常使いに重宝する5寸皿

主菜からスイーツまで幅広く使える、ひとつあると頼もしい存在。

おわりに

土のぬくもりをそのまま感じられる「土物」の器は、

華美な装飾ではなく、日々の暮らしに寄り添う“静かな魅力”を持っています。

料理をより美味しく見せ、時間の流れにやさしく調和する土物。

ぜひ、日常の中でその心地よさを体験してみてください。

これからも「陶四季」では、器の魅力や暮らしのヒントをお届けしてまいります。

どうぞお楽しみに。

土物